大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

横浜地方裁判所小田原支部 昭和42年(ワ)158号 判決 1969年5月30日

原告

松波鉄雄

ほか五名

被告

川口乳業株式会社

ほか一名

主文

被告らは連帯して、原告松波鉄雄に対し、金二百三万三千百六十六円、同松波一、同松波弘美、同松波浩二に対し、各金九十八万八千七百八十二円、同福井嘉蔵、同福井スヱに対し各金二十万円をそれぞれ支払え。

原告らのその余の請求はこれを棄却する。

訴訟費用はこれを二分し、その一を原告らの負担とし、その一を被告らの負担とする。

この判決は原告ら勝訴の部分に限り、仮りに執行することができる。

事実

原告ら訴訟代理人は「被告らは連帯して、原告松波鉄雄に対し、金三百十八万二千三百八十六円、同松波一、同松波弘美に対し、各金二百十二万千五百九十一円、同松波浩二に対し、金三百十二万千五百九十一円、同福井嘉蔵、同福井スヱに対し、各金百万円をそれぞれ支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求めその請求の原因として次のとおり述べた。

一、訴外松波タカは昭和四十一年十月三日午後三時四十分頃平塚市中原上宿千百三十五番地先道路の左端をその子である原告松波浩二を連れて伊勢原方面から平塚方面に向つて歩行中、その後方から進行して来た訴外石山義勝運転の普通貨物自動車相模四ろ二三八号(以下被告車という。)に衝突され、脳挫傷、硬膜下血腫等の傷害を受け、右傷害に基き翌四日死亡した。

二、訴外石山義勝は被告車を運転し、時速約五十粁で伊勢原方面から平塚方面に向つて運行し、本件事故現場付近に差しかかつたところ、たまたま道路の右側に普通貨物自動車が停止していたが、右訴外人は右停止中の自動車と訴外松波タカとの間を通り抜けられるものと考え同一速度で進行したところ、右停止中の自動車の後方より反対方向に向つて他の普通貨物自動車が進行して来るのを発見し、これと衝突をさけるため急いでハンドルを左にきつたため、歩行中の訴外松波タカに被告車の左前部フエンダーを衝突させたものである。従つて本件事故は訴外石山義勝の前方注視義務並びに徐行して事故を未然に防止すべき注意義務を怠つた過失により惹超されたものである。

三、被告会社は前記被告車を所有し、自己のために運行の用に供していたものであり、訴外石山義勝は被告会社に勤務する自動車運転手であり、被告会社の用務で被告車を運転中本件事故が発生したものである。又被告会社は資本金三百万円の個人ないしは同族会社であつて、平塚市諏訪町一番三十一号に本店を置き大船と戸塚に営業所を設けているが、従業員はせいぜい十名位であり、しかも従業員の大部分は本店勤務員であり、訴外石山義勝も本件事故当時そうであつた。被告川口政男の自宅と被告会社の本社事務所とは同一の場所にあり、訴外石山義勝を始め、本社勤務の従業員は本社事務所の建物内に居住し、被告川口政男は被告会社の代表取締役としてこれらの従業員を直接指揮監督していたものである。従つて、被告会社は自動車損害賠償保障法第三条、民法第七百十五条第一項により、被告川口政男は同条第二項により、本件事故により生じた後記損害を賠償する義務がある。

四、本件事故により生じた損害は次のとおりである。

(一)  逸失利益

本件事故当時訴外松波タカは三十八才の健康な女子でおり、原告松波鉄雄の妻として、原告松波一、同弘美、同浩二の母として、一家の中心の主婦として家事一切をきりもりしていたもので六十五才までの二十七年間は家事労働可能と見るのが相当である。しかして、労働大臣官房労働統計調査部の調査によれば、昭和四十一年における女子労働者の平均賃金は三十五才から五十九才まではいずれも一ケ月金二万二千円以上、六十才以上は一ケ月金一万九千円以上であり、右訴外人の一ケ月の生活費は金八千円であつたからこれを右平均賃金から控除した残額を基準として、右家事労働可能期間中の逸失利益をホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除して計算するとその額は金三百四万七千百六十円となる。

(二)  慰藉料

(イ)  訴外松波タカは真面目な家庭を愛する夫である原告松波鉄雄と十三才の原告松波一、八才の原告松波弘美、六才の原告松波浩二の子供に囲まれ極めて幸福な家庭を営み、子供達も漸く成長し、より幸福な家庭を築こうとしていた時であり、しかも事故当日は子供の運動会を見て原告松波浩二と共に買物をして帰宅しようとする時に事故にあつたものであり、その精神的苦痛は金二百万円をもつて慰藉されるものである。

(ロ)  原告松波鉄雄は訴外松波タカの夫であるが、右訴外人の死亡により莫大な苦痛を蒙むつており、右苦痛に対する慰藉料の額は金百五十万円をもつて相当とする。

(ハ)  原告松波一、同松波弘美は、突然最愛の母を失い、その悲しみ、苦しみは言い知れないものがあり、同原告らに対する慰藉料の額は各金百万円をもつて相当する。

(ニ)  原告松波浩二は本件事故当時母である訴外松波タカと共にあり、母が訴外石山義勝の自動車にはねられたのを直接目撃しておりその精神的シヨツクと苦痛ははかり知れないものがあり、同原告に対する慰藉料の額は金二百万円をもつて相当とする。

(ホ)  原告福井嘉蔵、同福井スヱは訴外松波タカの親であり、本件事故により娘を突然失い悲嘆にくれている。従つて、同原告らに対する慰藉料の額は各自金百万円をもつて相当とする。

五、訴外松波タカは前記のとおり合計金五百四万七千百六十円の損害賠償請求権を取得するに至つたのであるが、同訴外人は前記のとおり死亡したので、原告松波鉄雄は右訴外人の配偶者として右損害賠償請求権の三分の一の金百六十八万二千三百八十六円を、原告松波一、同松波弘美、同松波浩二はいずれも子として各九分の二宛の金百十二万千五百九十一円をそれぞれ相続し、被告らに対し、各自同額の損害賠償請求権を承継取得したものである。

次第で原告らが本件事故により蒙むつた損害はその相続したもて、原告松波鉄雄は金三百十八万二千三百八十六円、原告松松波弘美は各自金二百十二万千五百九十一円、同松波浩二は金万千五百九十一円、原告福井嘉蔵、同福井スエは各自金百万円であるから、原告らは被告らに対し、連帯して右各損害の支払を求めるため本訴請求に及んだのである。

次に被告ら主張の抗弁に対し、次のとおり答えた。

被告ら主張の抗弁事実は否認する。訴外松波タカは道路の左端を歩行していたものである。右が道路交通法第十条に違反することは認めるが、これがため本件事故が発生したものではないから、被告らの主張は理由がない。

被告らの訴訟代理人は、「原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求め、答弁として次のとおり述べた。

原告主張の請求原因一の事実中、訴外松波タカが道路の左端を歩行していたことは否認する。その余の事実は認める。同二の事実中被告車が時速約五十粁で進行していたこと、被告車の接触部位は否認する訴外石山義勝の過失の態様は争う、その余の事実は認める。被告車は時速約四十粁で進行し、接触部位は被告車の左側バツクミラー付近であつた。同三の事実中、被告川口政男が訴外石山義勝を直接指揮監督していたことは否認する。その余の事実は認める。但し、被告らが損害賠償の義務があることは争う。同四の事実は不知。ところで一般に「得べかりし利益」の算定基礎は被害者が死亡前において金銭的評価をなし得る現実の利益を得ている場合に生ずるのが原則であるところ、訴外松波タカは本件事故前、家庭の主婦であつた外、右のような労働の対価として現実に金銭的評価をなし得る利益を得ていた事情はない。そして、通常労働力の評価はその交換的価値によつて算定されるもののようであるが、主婦の労働力にかかる交換価値を求めること自体困難であり、いわば「主婦の座」は財産的評価に親しまないというべきである。仮りに、何らかの財産的評価を可能ならしめようとして、妻に代り得べき家政婦の労働力を前提としたとすれば、それはむしろ、夫が、妻が死亡したことにより家政婦を傭入れたことによる現実の損害として請求さるべきで、単なる家政婦の代置労働力を即、主婦労働となすべきでない。けだし、右のような方法で、主婦労働の評価をなし、これに労働可能年数を乗じて妻の生涯の総損害を算定し、右損害を相続によつて夫に帰属させるとすれば、夫が後に再婚することによつて、右の算定根拠たる蓋然性が破れ、夫に対し、再婚後の妻の現実の労働による利益と右逸失利益との二重の利得をさせる結果となるからである。右のような欠陥は、全く評価不能な主婦の労働を家政婦の労働力によつて金銭的に評価したことに起因するものであり、原告らこの点についての主張は失当である。又原告らは訴外松波タカ独自の慰藉料を相続したと主張するが、一般に死亡による精神的苦痛が死者本人に帰属すること自体論理的に矛盾であるばかりでなく、死亡の結果を何ら権利主体たり得ない死者本人に帰属せしめた後相続させる方法は余りにも技巧に過ぎて実体に即応しない。近時下級審の裁判例には右のような関係に着目し、被害者自らは自己の死亡を原因とする慰藉料請求権を取得し得ないとするものと他方慰藉料請求権が一身専属権であることの前提にたちその相続を否定するものとの二つの見解が存するが、いずれの立場にたつにしろ、慰藉料請求権の相続を否定するのが趨勢であり、この点についての原告らの主張も失当である。

次に抗弁として次のとおり述べた。

仮りに、被告らに損害賠償の義務があるとしても、本件事故発生については訴外松波タカの過失もその一因をなしていたから、損害額の算定につき充分斟酌さるべきである。即ち、本件事故発生当時、訴外松波タカは被告車の前方を原告松波浩二を左側に連れて道路の左から右の方の中央寄りを歩行していたものである。このように、訴外松波タカは道路交通法第十条に違反して道路の左側を歩き、しかも、側端に寄つていなかつたので、被告車が接近し危険が迫つたにもかかわらず、それを避けることができなかつたものであり、訴外松波タカにも過失があつたものである。〔証拠関係略〕

理由

訴外松波タカが昭和四十一年十月三日午後三時四十分頃平塚市中原上宿千百三十五番地先道路上を、原告松波浩二を連れて伊勢原方面から平塚方面に向つて歩行中、後方から進行して来た訴外石山義勝運転の被告車に衝突され、脳挫傷、硬膜下血腫等の傷害を受け、右傷害に基き翌四日死亡したこと、本件事故当時、本件事故現場付近の道路右側に普通貨物自動車が停止していたこと、訴外石山義勝は右停止中の自動車と訴外松波タカとの間を通り抜けられるものと考え、同一速度で進行したところ、右停止中の自動車の後方から反対方向に向つて他の普通貨物自動車が進行して来るのを発見し、これと衝突をさけるため急いでハンドルを左にきつたため被告車を訴外松波タカに衝突させたものであることは当事者間に争いがない。〔証拠略〕を総合すれば、本件事故発生現場は平塚市から神奈川県中郡伊勢原町に通ずる県道二七号線で幅員六・三米のアスフアルト舗装された歩車道の区別のない見透のよい平坦な交通頻繁な道路であるところ、訴外石山義勝は前記のとおり被告車を運転し、時速約五十粁で本件現場付近に差しかかたこと、右訴外人は本件事故発生約一ケ月前に運転免許証をとつたばかりで運転が未熟であつたこと、訴外松波タカは原告松波浩二を道路左端に設けられた下水溝のコンクリート蓋の上を歩かせ、これと手をつないで道路の左端を通行していたこと、訴外石山義勝は右訴外松波タカの姿を前方約十七米の地点で認め、且つ前方約二十米の道路右側に停止していた前記自動車及び前方約五十米の地点に反対方向から道路右側を進行してくる前記普通貨物自動車を認めたが、右訴外人は右対向車が右停止中の自動車の傍を通過する前に被告車が右停止中の自動車の傍を通過出きるものと考え、そのままの速度で進行したところ、前方約七、八米の地点で前記対向車が停止中の自動車の後方から道路中央寄りに進行して来たのを発見し、衝突の危険を感じ、慌ててハンドルを左にきつたため訴外松波タカの後頭部付近に被告車の左側バツクミラー付近を衝突させたものであることが認められる。〔証拠略〕中右認定に反する部分は、〔証拠略〕に照らしてたやすく措信し難く、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。右認定の事実に徴すれば、本件事故現場付近は幅員六・三米の狭い交通量の多い道路であり、しかしも道路右側には普通貨物自動車が停止しており、その後方から他の自動車が進行して来ており、そのまま進行したときは、被告車、対向車、停止中の自動車の距離被告車及び対向車の速度等から考え、被告車と対向車とが、右停止中の自動車付近ですれ違うようになることは容易に予想されるところであるから、訴外石山義勝は被告車を減速徐行ないしは停車させて対向車と安全にすれ違つたうえ、あらためて進行を継続し、事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにかかわらず、同訴外人は右注意義務を怠り、減速徐行しないで前記同一速度で進行したため、前方約七、八米の地点で対向車が停止中の自動車の傍を通過しようとして道路中央寄りに進行したのを発見し、衝突の危険を感じ、慌ててハンドルを左に切つたため本件事故が発生したものであるから、本件事故は訴外石山義勝の過失によるものといわなければならない。

被告らは訴外松波タカが道路の左から右の方の中央寄りを歩行していたから同訴外人にも過失があつた旨主張するけれども、前記認定のとおり、訴外松波タカは道路の左端下水溝に沿つて歩行していたものであるから、被告らの右主張は採用できない。

被告会社が被告車を所有し、自己のために運行の用に供していたものであり、訴外石山義勝が被告会社に勤務する自動車運転手で、被告会社の用務で被告車を運転中本件事故が発生したものであること、被告会社が資本金三百万円の個人ないし同族会社であつてその従業員は十名位であり、従業員の大部分が本社勤務であり、訴外石山義勝もそうであつたこと、被告川口政男が被告会社の代表取締役であり、同被告の自宅と被告会社の本社事務所とは同一の場所にあり、訴外石山義勝は他の従業員らとともに本社事務所の建物内に居住していたことは当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、被告川口政男は訴外川口政昭、同沢川正雄らとともに訴外石川義雄を含めて従業員を直接監督していたことが認められ、他に右認定を覆えすに足る証拠はない。

以上認定の各事実によれば、被告会社は自動車損害賠償保障法第三条、民法第七百十五条第一項により、被告川口政男は民法第七百十五条第二項により本件事故により生じた損害を賠償する義務があるものといわなければならない。

〔証拠略〕によれば、訴外松波タカは、本件事故当時満三十八才の健康な女子であつて、家庭の主婦として家事一切をきりもりしていたことが認められ、厚生省統計調査部発行の第十一回生命表によれば満三十八才の女子の平均余命は三六・七二年であるから、右訴外人は本件事故に遭わなければ右程度の期間生存し、満六十才に達するまでの二十二年間は家事労働をなし得たものと推認することができる。ところで、原告らは主婦である訴外松波タカの逸失利益は女子労働者の平均賃金により算定すべきであると主張するに対し、被告らは逸失利益は被害者が死亡前に金銭的評価をなし得る現実の利益を得ている場合に生ずるものであり、訴外松波タカは家庭の主婦の外右のような現実の利益を得ていなかつたし、又労働力の評価は交換的価値によつて算定されるが、主婦の労働力にこのような交換価値を求めることが困難であるから、訴外松波タカの逸失利益は認めるべきでない旨主張する。家事労働に専念する主婦の逸失利益を否定するか肯定するか、肯定するとすればいかなる基準に基くべきかは甚だ困難な問題であり、学説も分れているところであるが、当裁判所は原告らが主張するように、主婦の逸失利益は女子労働者の平均賃金により算定するが相当であると解するので、右に従つて訴外松波タカの逸失利益につき判断する。〔証拠略〕によれば、昭和四十一年度における全国女子労働者の平均賃金は三十五才から五十九才まではいずれも一ケ月金二万二千円以上であることが認められる、そして〔証拠略〕によれば、原告松波鉄雄は本件事故当時平均一ケ月金四万千円の収入があり、これにより妻である訴外松波タカ子である原告松波一、同松波弘美、同松波浩二の五人で生活をしていたことが認められ、右の収入、家族構成等から考察し、妻である訴外松波タカの一ケ月の生活費は金一万円と認めるが相当である。そこで右平均賃金から生活費を控除した金額を基準として前記二十二年分につきホフマン式計算法によつて年五分の割合による中間利息を年毎に控除して得た本件事故当時の現価は金二百九万九千五百二十円となりこれが訴外松波タカの逸失利益である。

〔証拠略〕によれば、同原告は昭和十四年三月東京高等工芸学校工学学校実習指導員養成科を終了し、その後会社員沿差をした後昭和四十一年一月二十日から訴外古矢建設株式会社水道部の配管工として勤務し、前記の収入を得ていること、訴外松波タカは農業を営む原告福井嘉蔵、同福井スヱの長女として出生し、旧制高等女学校を卒業し、昭和二十七年三月十一日、原告松波鉄雄と結婚したこと、原告松波鉄雄は夫婦協力して昭和三十五年土地を購入し、次いで昭和四十年に家を新築したこと、その間事故当時中学二年の原告松波一、小学校三年の原告松波弘美、幼稚園に通園していた原告松波浩二の三人の子供を儲け円満な家庭生活を営んでいたことが認められる。右認定の事実、本件事故の態様、その他諸般の事情を斟酌し、原告松波鉄雄、訴外松波タカの受けた精神的苦痛に対する慰藉料の額は各金百万円、原告松波一、同松波弘美、同松波浩二の受けた精神的苦痛に対する慰藉料の額は各金三十万円、原告福井嘉蔵、同福井スヱの受けた精神的苦痛に対する慰藉料の額は各金二十万円と算定するのが相当である。被告らは死亡した訴外松波タカの独自の慰藉料は認めるべきでなく、又その相続も否定すべきであると主張するが、当裁判所は昭和四十二年十一月一日最高裁判所大法廷判決の見解に従つて、死者の慰藉料請求権及びその相続性を認めるものである。

以上の次第で、原告ら及び訴外松波タカは前記各認定の限度において被告らに対し、それぞれ損害賠償請求権を取得したものであるが、訴外松波タカは死亡したので、原告松波鉄雄は夫として右損害賠償請求権二百九万九千五百二十円の三分の一の金百三万三千百六十六円を、原告松波一、同松波弘美、同松波浩二はいずれも子として各九分の二の各金六十八万八千七百八十二円をそれぞれ相続し、被告らに対し各自同額の損害賠償請求権を承継取得したものである。

よつて原告らの被告らに対する本訴請求は、被告らに対し連帯して、原告松波鉄雄は金二百三万三千百六十六円、同松波一、同松波弘美、同松波浩二は各金九十八万八千七百八十二円、同福井嘉蔵、同福井スヱは各金二十万円の各支払を求める限度において正当としてこれを認容し、その余の請求は失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、第九十二条、第九十三条を、仮執行の宣言につき同法第百九十六条第一項を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 青山惟通)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例